日本人の糖尿病の割合は?95%以上が2型?

日本人の死亡原因は、以下のような順位となっています。
2位: 心臓病
3位: 脳卒中
上位1~3位には、糖尿病が含まれていませんよね。そのため、医師から高血糖であることを告げられても、特に気にせず、そのうち治ると考えてしまう方が多いのです。
ですが、2位と3位の死亡原因で亡くなる方の中には、まず糖尿病にかかり、そこから心臓病や脳卒中を併発している方もおられるということをご存知ですか?
詳しい統計はまだとられていないのですが、研究者や医師の中には、日本人の死亡原因の1位が糖尿病だと考える方もおられるのです。
高血糖を放っておいても、治るものではありません。何かしらの対策を行わなくては、糖尿病になってしまい、合併症が起きる可能性が高いのです。
糖尿病の恐ろしい合併症とは
→糖尿病などの高血糖の治療は?現在の治療と恐ろしい合併症の話
今、日本人の糖尿病の割合はどのくらいなのかご存じですか?ここでご紹介する数値をご覧になれば、人事ではないことがお分かりいただけると思います。
糖尿病の種類について
日本人の糖尿病の割合を見ていく前に、まずは、糖尿病の種類についてご説明していきたいと思います。
糖尿病はその原因によって、以下の4つに分類されています。
2.2型糖尿病
3.3型糖尿病
4.4型糖尿病
上記の4種類のうち、1型と2型が主なものとなっています。今回は、1型と2型を中心に、ご説明していきます。
以前は「インスリン依存型糖尿病」と呼ばれていた1型
1型糖尿病は、以前、インスリン依存型糖尿病と呼ばれていました。
膵臓のβ細胞が免疫異常によって破壊されてしまい、インスリンの分泌量が大きく不足することが原因です。
この症状が進むと、インスリンの分泌はほぼ無くなってしまい、自己注射などでインスリンを補給しなくてはなりません。
以前は「成人型糖尿病」と呼ばれていた2型
2型糖尿病は、以前、成人型糖尿病やインスリン非依存型糖尿病と呼ばれていました。
遺伝的要素に加え、肥満や過食、偏食、運動不足、ストレスなどが複雑に絡みあうことが原因となります。
この2型糖尿病を発症する要因としては、遺伝的要素が一定の割合を占めるのですが、遺伝的要素がなくても生活習慣が原因となり発症することも多くあります。
ただし、遺伝的な要素があっても、適切な食生活や運動習慣を続けることによって、発症を防ぐことは可能だと言われています。
1型糖尿病と2型糖尿病を比較
ここで、1型糖尿病と2型糖尿病を表にして、比較してみました。
1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
発症する原因 | 自己免疫異常によるインスリン分泌量不足 | ・遺伝的要因 ・環境的要因 |
発症する年齢 | 主に15歳以下での発症が多い | 主に40歳以上に多いものの、最近では若年層でも増加 |
進行度 | 急激に進行 | 自覚症状がなく、ゆっくりと進行 |
家族歴 | 家系内の発症は2型と比べて少ない | 家系内に糖尿病患者がいることが多い |
治療法 | ・インスリン注射 ・食事療法 ・運動療法 |
・食事療法と運動療法が主流 ・インスリン注射も有り得る |
1型糖尿病は15歳以下に見られることが多いものの、中高年での発症も見られます。
また、1型の発症では肥満は関係ありませんが、2型の場合には過去も含めて肥満が関係していることがあります。
日本人の糖尿病の割合について
ではここで、日本人の糖尿病の割合についてご説明していきたいと思います。日本人ではどのくらいの人が糖尿病患者となっているのでしょうか。
「厚生労働省:2014年患者調査の概況」によりますと、糖尿病患者数は316万6千人となり、過去最高の数値となっています。
また、「厚生労働省:2014年国民健康・栄養調査」によりますと、糖尿病の疑いがあるとされる方は、男性で15.5%、女性で9.8%という結果になっています。
日本人の糖尿病患者の95%が2型糖尿病
日本人の糖尿病患者のうち、なんと95%が2型糖尿病であると言われています。
以前は中高年を中心に発症するものだったのですが、最近では若年層での発症も見られるようになってきました。
生活習慣などが主な原因となり発症する2型糖尿病ですが、実は日本人はこれにかかりやすい体質だと言われているのです。
日本人は2型糖尿病にかかりやすい?!
日本人は、もともと2型糖尿病にかかりやすい体質だと言われています。
というのも、欧米の方に比べ、日本人のインスリンの分泌量が約半分と少なく、近年の食の欧米化に伴って過食・偏食などの傾向が高くなっているためです。
インスリンがブドウ糖を細胞に送るという血糖値を下げるメカニズム(耐糖能)を超えた食生活や生活習慣となっていることで、身体がうまく機能できない状態なのですね。
インスリンと血糖値
世界的に見た糖尿病患者数
世界的に見た場合には、どのくらいの糖尿病患者数となっているのでしょうか。
2003年の国際糖尿病連合の調査統計によりますと、世界の糖尿病患者数は、1億9千4百万人です。
2025年には、3億万人を超えると予想されており、世界的に見ても糖尿病は深刻な病気となっています。
2型糖尿病は治療出来る?
2型糖尿病の場合、食事療法や運動療法などを続けていくことによって、インスリンの働きを正常に戻すことが可能だとされています。
インスリンの働きが正常になれば、血糖値を下げて正常値にしていくことが出来ます。
2型糖尿病の場合でもインスリン注射を行う場合がありますが、長期間治療を受けることで、薬物治療を終えることが出来る患者さんもおられます。